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#61 GISで地域を灾害から守る

私たちが防災の計画を立てるとき、場所についての情報が欠かせません。今回はGIS(Geographic Information System:地理空間情報)を研究している橋本雄一さん(文学研究科 人間システム科学専攻 地域システム科学講座 教授)に、防災とGISについてのお話しをうかがいました。

(研究室でインタビューにこたえる桥本さん)

现在の研究

釧路を事例にして、灾害避难経路についての研究をしています。釧路は市街地に隣接して湿原があることからわかるように海抜が低く、市街地すべてが津波想定域に入っています。しかも、冬の北海道の积雪が、避难をさらに困难にしています。釧路は豪雪地帯ではないのですが、歩道に降った雪が解けずアイスバーンのようになり、通行を妨げます。このように、北海道の灾害避难については、雪や氷、积雪などの寒冷地特有の问题があります。灾害时の避难を円滑に遂行するためには、地域の状况に応じた复数の避难计画を策定すること、そして计画策定のための资料を準备することが必要になってきます。そのために骋滨厂の技术は大きな力を発挥します。

(骋滨厂を使って作成された釧路市の津波浸水想定図)
 

二つの震灾と骋滨厂

1995年1月17日の阪神淡路大震灾では、復旧の要になるはずの市役所が真っ先に机能を失いました。市役所には、基盘図などの地図データが纸媒体で保管されていました。そのため、復兴计画を十分な地図データがない状态から策定することになり、復兴が遅れる原因となりました。この后、国土交通省が中心となって、自治体が持っている地図情报をすべてデジタル化して保有する「国土データ基盘」のプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトを遂行するために、骋滨厂の研究者や技术者を养成する教育が必要になりました。

2011年3月11日に起きた东日本大震灾以后、北海道庁が津波浸水想定域の见直しを始めました。この新しい想定域に居住する人口を推定すると、釧路(人口约18万)だけで12万8千人が、札幌市以外の北海道人口の8人に1人となることがわかりました。この推定を行ったとき、これはなんとかしなければならないと思いました。

研究会で、道庁の津波担当の方と、津波防災について一緒に発表したことが契機となり、コンピュータを使って自分たちでハザードマップをつくろうという話しになりました。私は GIS を使って地図を作るためのマニュアル作成を行いました。結果として、厚岸、苫小牧、室蘭そして白老など、北海道内の市町村が、公開されたデータと私の配布したマニュアルを使って、独自にハザードマップをつくりました。そのことで従来よりもコストを押さえながら、地域の実情に応じたマップを作ることができました。これは非常に効果が大きかったと思います。

(マニュアル作成には讲义経験が生かされている。讲义のエッセンスが詰まったテキスト(左)と近日出版される书籍の表纸(右))

GIS の研究のきっかけ

高校时代から地理が好きで、大学で地理学を学んでいました。当时のコンピュータは、今日のように精密描画を行うための机能がなかったので、製図用具を用いて手で描いていました。地理を学ぶためには、図表を手描きで作成することが必须のスキルでした。

さらに、学部や大学院の学生だったころはコンピュータを用いて最先端の研究に取り组んでいました。1984年、私がまだ二十代の学部生の顷は、コンピュータを使うためには大型计算机センターにいかなければならず、プログラミングには特别なスキルも必要だったため、コンピュータを扱える人は本当に少なかったのです。

90年代になると GISを使いコンピュータで地図を作る研究に注目が集まるようになりました。学生時代に自分がコンピュータを扱う技術勉強していたことと、作図の技術とが、 GIS の上で融合したのです。

(学生时代に作成した论文、図表はすべて手书きである)
 

これからの研究と教育

多数のセンサーを使って、リアルタイムのデータを、一ヶ所に集めて、データを高速に解析し、その結果に基づいて、少数の人が迅速に意思決定していく情報流通のしくみについて考えていくつもりです。この「情報流通」の要になるのが「場所の情報」です。行政の資料の7~8割が、地図に関連した情報と言われています。GIS を用いて地図をベースにして情報を集め、解析し、アウトプットして、現場に伝える。このような意思決定のしくみづくりに貢献していきたいと思っています。

そのためには、人びとのコンピュータのリテラシーをより高め、行政組織の構造や職員の意識を変えていく必要があると思います。例えば、行政がオープンデータ化をすすめて、市民や研究機関に公開して各自が分析できるような形式でデータを保存し公開していくだけでも、人びとの意識は大きく変わっていくと思います。GIS の講義を聞いた学生が、行政の職員として働きながら、その組織のあり方を変えていく。長い目でみた、社会全体の変革に関わっていきたいと考えています。

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2015.08.20

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