【吉川颯真│2025年度颁辞厂罢贰笔受讲生】
人口190万人を超える大都市でありながら、ひと冬で累计约5メートルも雪が降る札幌。人口100万人以上の都市において世界一の降雪量を夸るこの街は、雪や氷の研究においても世界のフロンティアをひた走ります。その最前线に立つ研究机関が、札幌キャンパスの北侧に位置する「低温科学研究所」(低温研)です。
低温研の雪氷新領域部門 相転移ダイナミクス分野では、雪や氷の结晶の表面を光学顕微鏡などを用いて観察し、结晶がどのように成長しているのかを研究しています。そこには、15年以上にわたって「世界一」と謳われる数々の高度な観測装置が集結していました。
相転移ダイナミクス分野の教授である佐﨑元さんにインタビューで伺い、その内容をもとに [低温研の知の结晶] と題してシリーズ化してお送りします。今回はこのシリーズに先立ち、低温研の今と昔に迫ります。
低温研の今
低温研は3つの研究部门と环オホーツク観测研究センターで构成され、研究対象は寒冷圏全体を网罗しています。寒冷圏には、海洋や河川、氷河、高山地帯から宇宙まで含まれます。さらに、寒冷圏に生息する生物や寒冷圏に存在する雪氷を対象とした研究も盛んです。研究スタイルも多种多様で、计测机器を用いて実験室の中で行う研究と、寒冷圏に出向き现地にある贵重なサンプルの採取?観察?分析を行うフィールド研究が半分ずつだといいます。低温科学研究所では、高校の理科における物理?化学?生物?地学のすべての分野にわたって活発な研究が行われています。
また、研究环境も非常に整备されています。南极の氷の掘削など、研究で使うための道具や装置をすべて手作りする必要があるため、技术的なサポートが充実しています。低温研では、金属加工やガラス加工だけでなく、电気?电子回路、コンピュータプログラム、テレコミュニケーションなどの多种多様な専门技术を持つ技术职员の方々が働いており、あらゆる実験装置を研究所内で独自に开発できる点も、低温研の大きな强みの一つだと佐﨑さんは话します。

中谷宇吉郎が遺した雪氷学、结晶成長学と氷河学
札幌キャンパスの中央食堂横にある「人工雪诞生の地」碑を见たことがあるでしょうか?
この石碑がある場所を研究拠点としていた中谷宇吉郎(なかや?うきちろう)教授は、雪の结晶の形がなぜ多種多様であるのかを解明するために、1933年から人工的な雪の结晶の作成を目指して試行錯誤を始めます。それから3年、1936年に世界で初めて人工的な雪の结晶の生成に成功します。その後も中谷教授は研究を続け、様々な雪の结晶の形が、温度と水蒸気量によって決まっていることを明らかにし、「中谷ダイアグラム」として公表しました3, 4。
この业绩をきっかけに、1941年に「低温における科学的现象の学理および応用を研究する」ことを目的として低温科学研究所が设立されます。しかし、当时は第二次世界大戦の最中であり、中谷教授はシベリアへ攻撃する航空机の翼が冻らないようにするための研究や、戦闘机が安全に离着陆できるように滑走路に発生する雾を追い払う研究など、基础研究の侧面から军事研究を进めました。そのため、戦争が终わると军事研究に関わったことについて批判を浴び、低温研を追われることになります5。
中谷教授の応用を见据えながらも物理现象の理解に重きを置く姿势は、学问を大いに推し进めることになったといえるでしょう。

低温研設立のきっかけとなった「中谷ダイアグラム」をはじめとする研究は、「雪氷学」および「结晶成長学」と呼ばれる学問の先駆的な成果となりました。このうち「结晶成長学」については、後に着任した小林禎作助手(後に教授)によって、研究が進められます。現在では雪氷新領域部門の相転移ダイナミクス分野でさらに詳しい研究がなされています。
一方、中谷教授は1953年に、雪の结晶成長の研究に代わり、氷の结晶の機械的特性に関する研究を始めます。当時、そのような氷の结晶の性質を調べるためには大きな氷の结晶が必要で、そこで中谷教授は氷河に着目しました。そこからスタートした「氷河学」は、現在は雪氷新領域部門の氷河氷床?雪氷古環境分野の研究室によってさらに詳しい研究がなされています。
※机械的特性とは、物体に力を加えたときに、どのように変形したり壊れたりするかを表す性质のことです。
1941年の设立から85年を迎えた低温科学研究所は、雪氷研究の世界的拠点として発展を続けています。
次回以降の[低温研の知の结晶]シリーズでは、佐﨑さんの専門である结晶成長学の最前線に迫ります。乞うご期待!
参考文献:
- 北海道大学低温科学研究所,? (最終閲覧日: 2026年2月14日)
- 北海道大学低温科学研究所 相転移ダイナミクス分野, 「雪や氷の结晶成長の基礎」 (最終閲覧日: 2026年2月14日)
- Y. Furukawa and J.S. Wettlaufer, Physics Today, 70-71, Dec. 2007.
- U. Nakaya, Snow Crystals, Harvard Univ, Press, 1954.
- 黒岩大助, 「北大における雪氷学」, 『北大百年史』通説 (1982年), (最終閲覧日: 2026年2月14日)