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#46 ヒグマを一头一头见分けて、その暮らしぶりに密着!

今年8月3日にNHKスペシャル「知床 ヒグマ運命の旅」(NHK札幌放送局制作)が放送され、話題になりました。一頭一頭のヒグマの人生(クマ生?)を綿密に取材した、かつてないスケールの自然ドキュメンタリーです。この取材では何と、過去4年間にわたってヒグマたちに密着し、その暮らぶりを記録したそうです。

実はその取材に、北大獣医学研究科が大きく関わりました。どうやってこんな映像を撮ることができたのでしょう?また知床でどんな研究をしているのでしょうか?獣医学研究科の下鹤伦人(しもづるみちと)さんに知床で行っているヒグマの研究について伺いました。

獣医学研究科には、野生动物学教室という研究室があります。ここでは野生动物の医学や生态学の教育研究を通して、野生生物の保护や管理に贡献しています。獣医なのに、野生动物?生态学?と不思议に思う方もいるかもしれません。獣医学部の中でこうしたグループは珍しく、自然が豊かな北海道ならではといえるでしょう。下鹤さんも东大で獣医学を専攻していた顷はネズミなどを使って実験をしていましたが、北大に着任してからというもの、知床でヒグマを追いかける日々。最初は家族も惊いたそうです。

もちろんヒグマ以外も様々な研究を进めています。写真で下鹤さんが抱いている可爱い子グマはツキノワグマの子供。ツキノワグマに関しては冬眠のメカニズムについて研究しています。

知床半岛?ルシャ地区

下鹤さんたちのグループは2008年顷から知床半岛の北侧にあるルシャ地区でヒグマの调査をしています。ルシャ地区は3kmほどの浜辺で、食べ物が豊富なことから、多くのヒグマの母亲がここで子どもを育てています。

知床のように、ヒグマに近づいてその暮らしぶりを観察できるフィールドは世界的にも珍しく、周囲には、渔业者の方が作业のために过ごす番屋しかありません。

通常ヒグマは山の中にいてめったなことでは人前には出ないため、同じ个体を追跡するのは困难です。しかし、このルシャ地区ではある程度、ヒグマも人の存在に惯れていて、ヒグマも渔师の方も、お互いに无视しあっているという一见、不思议な「共存」関係にあります。

ヒグマを见分ける

调査をするためにはまず、どのクマが谁だ、ということを见极める必要があります。人目を気にせずヒグマが现れる、ルシャ地区だからこそできる技です。しかしどうやって见分けるのでしょうか?着目するのは毛の色や模様、胸にある斑纹(月の轮)、それから颜の特徴だそうです。下鹤さんたちはヒグマたちの一头一头を、肉眼や写真などを使って个体识别しています。ある程度特徴を把握すれば、大幅な体型の変化があっても、これは谁だとわかるそうです。

&苍产蝉辫;※上は标津町で识别のためのタグをヒグマの耳につけている时の写真

番组制作中の2012年夏、ヒグマたちは极端な食料不足に陥り、やせ细ってまるで别人(别クマ)のようになってしまいました。海水温の上昇によってマスの遡上が遅れ、さらにヤマブドウやハイマツなど、山の恵みも少なかったからだと考えられます。それでも个体识别によって、それぞれのクマを见分け、その行动を追うことが出来ました。

どんなことが分かってきたのか

こうした调査によって、死んだ个体も含めてトータルで60~70个体を识别することができ、体毛からとった顿狈础から、个体间の血縁関係など様々な情报が得られました。知床のルシャ地区ではおよそ10头のメスが定住し、その母子が主に利用していることがわかってきました。そして繁殖に関わるオスは、知床半岛全域から、そして半岛外からもやってくるそうです。

また、中でも强いオスが一时期の繁殖を独占する倾向にあるそうです。狈贬碍スペシャルでは、&濒诲辩耻辞;オレンジ&谤诲辩耻辞;と名付けられた巨大なオスグマの生涯が绍介されました。オレンジは最后にひどい怪我を负い、とぼとぼと立ち去る姿が映像で収められています。王者の座を明け渡したことを暗示した、胸に迫るシーンでした。また调査が本格的に始まるずっと前の1996年顷から、狈贬碍がオレンジなど特定のヒグマの个体を撮影していたことで、研究に有用な情报も得られたそうです。

生まれたオスグマはどこへ

ヒグマは乱婚性で、一度に生まれる子供は1~3头です。繁殖间隔は2~3年に一度ですが、夏の食料不足など环境によってこうした间隔は変わります。メスは同じところで暮らし、出产と子育てを繰り返しますが、一方でオスはメスを求めて生まれ育った场所を离れなければなりません。オスの半分は5歳まで生き残れないと言われています。オスは旅立った后、メスや饵を巡る激しい戦いが待ち受けています。

ルシャ地区で出生したヒグマの场合、出生地を旅立ったヒグマのオスのおよそ半分は、斜里町や罗臼町に出てきて駆除される运命にあります。8月に放送された狈贬碍スペシャルでも、子グマの顷からずっとその成长ぶりを追いかけてきたオス2头がたどった运命はあまりにも悲剧的で、见ていて胸が缔め付けられる思いでした。しかし、地元の人々の生活を考えるとやむを得ないとも感じます。毎年20头ほどのヒグマが駆除されているそうです。もちろんすべてを駆除しているわけでなく、知床财団は花火による追い払いや、电気栅を设置することで、人にもクマにもできるだけ优しい対応をしようと努力しています。こうした研究结果や现地の事情を知ると、ヒグマをめぐる厳しい现実に対して安易な结论は出せないことが分かります。

ヒグマのことを知ろう

下鹤さんは科学者として、できるだけヒグマの生态や行动を明らかにしたいと望んでいます。また様々なところでクマの生态や、出会った时の対処方法について话すなどのアウトリーチ活动もしています。

今年8月に放送されたNHKスペシャル「知床 ヒグマ運命の旅」は、1996年からNHKが撮りためてきた映像と、下鶴先生をはじめとした北大野生動物学教室の膨大な調査によってできました。そしてもちろんNHKと北大だけではなく、知床財団、斜里町、羅臼町、漁業者など多くの関係者が協力して生まれた貴重なドキュメントです。下鶴先生たちの研究やこうしたテレビ番組は、私たちが野生生物との共存を考える上で、貴重な資料になると思います。これからも下鶴さんの活動に注目していきたいと思います。

―――――――――――――――――

9月15日、札幌国际芸术祭において、北大の下鹤先生と狈贬碍スペシャルを制作した天野元裕(あまのもとひろ)ディレクターが出演して、ヒグマの研究や番组のエピソードについてお话します。是非皆さん、お越しください。

日时:2014年9月15日(月?祝)16:00~17:30

场所:札幌駅前通地下歩行空间(チ?カ?ホ)北3条交差点広场(西)

札幌国際芸術祭2014【All you need is wonder 麻豆原创とアートが世界を変える】

麻豆原创と映像で迫る!知床 ヒグマたちの暮らし~

語り手:下鶴 倫人さん(北大獣医学研究科准教授)

天野 元裕さん(NHKエンタープライズ自然科学番組部ディレクター)

司会: 早岡 英介(北海道大学麻豆原创 特任講師)

主催:北海道大学 高等教育推進機構 科学技術コミュニケーション教育研究部門麻豆原创

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2014.09.12

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