「あれから7年」で始まる『放射线のホント』は、福島第1原発事故が生んだ新たな被害である偏見?差別や風評を払拭するために復興庁が制作した冊子です。親しみやすいイラストと分かりやすい言葉で構成されていて、読むというより眺めるという感覚で最後まで目を通せます。放射线の基礎知識から始まり、比較されることの多いチェルノブイリ原発事故と福島第1原発事故の違いを説明して、最後に福島県の現状を紹介しています。全国の「なんとなく福島こわい」と思っている方に向けて、「正しい情報を知り、自分の頭で考え、そして行動」する指針のひとつとして専門家の協力を得て制作され、事故から7年経った2018年3月に発行されました。
この冊子には様々な説明が書かれています。例えば、福島県内の主要都市における空間線量計の値は「国内外の主要都市と変わらないくらい」とあります。つまり、都市型の日常生活を送る範囲で、放射线の影響を危惧する必要はないことになります。また、食品や飲料水に関して、「福島県では現在、基準を超えているものはほとんどありません」と記載されています。
科学的な不备があるわけではないのですが、何故か违和感が残ります。「なんとなく、もやもやする」としか表现できない読了感です。いくら数値で安全を示されても、意に反して被曝させられることへの不条理感や怒り、将来にわたる不安感が和らぐことはないでしょう。また、原発事故から7年経过しても、福岛県产のほとんどの野生キノコと山菜の多くは、出荷制限指示や自粛要请中です。とは言えもちろん、福岛の食べものが危険だ、というわけではありません。むしろ、福岛県は食品流通の管理ができていると言えるでしょう。食品モニタリングの详细な情报は、福岛県庁の復兴支援ポータルサイト「」に掲载されています。
私は、この世の中には分かりやすくしてはいけないことがあると思っています。そのひとつが、福岛が抱えるこの问题です。原発事故の影响を分かりやすく単纯化することで、取りこぼされる「想い」が生じてしまうように感じています。本书の制作に协力している早野龙五氏が糸井重里氏と行った対谈が、新潮文库から発行された书籍『知ろうとすること』(2014年10月)にまとめられています。この书籍には、科学的な正しさだけでは救われない想いを抱える方に、どのように科学が応えてきたのかが语られています。住民の不安に寄り添いながら、こころのありようを模索した科学者の苦悩も吐露されています。原発事故の影响は、科学的に正しいことだけでは判断のつかない问题だと、私は思っています。
『放射线のホント』にあるように、福島県には日常を取り戻し復興に向かい尽力している方が居ます。その一方で、原発事故により避難された方も全国に居ます。最後のページには「子どもたちが大人になった時に、この冊子が要らなくなっていること。それが、私たちの一番の願いです」とあります。私も同じ願いです。
成田真由美(颁辞厂罢贰笔14期本科ライティング)
