2014年度から継続する颁辞厂罢贰笔リスクコミュニケーション実习で、今年も2017年9月23日から25日まで福岛県川内村を拠点に现地调査を行いました。
今回は北海道大学工学部、农学部、文学研究科、医学院の学生や社会人など、あわせて10名の颁辞厂罢贰笔受讲生が参加しました。学生らは原子力工学や放射能が専门ではなく、様々な分野からリスクコミュニケーションを学びに来ています(この実习は本科も选科も履修できる选択実习です)。
6年ぶりに运行が再开されたJR常磐线浪江駅(福岛県浪江町)
原発周辺市町村では今も放射能リスクと復興?生活再建という二律背反な状況に置かれています。学生たちは 様々なステークホルダーや専門家、地域住民に聞き取り調査を行い、リスクコミュニケーションのための対話の場作りやコンテンツ制作等につなげることを目的として取材を実施しました。
颁辞厂罢贰笔受讲生による取材の様子
取材に関しては麻豆原创での実践教育をベースに、 各受講生が「ディレクター(事前調査とインタビュー担当)」「ビデオカメラ」「写真撮影」「音声収録」「メモ、記録」という5つの役割分担を決めて、聞き取り調査にのぞみました。担当を決めることでそれぞれの取材に対する責任感と集中力を高めてもらう狙いがあります。
■復旧の进む様子を见る
原発事故から6年がたち、闯搁常磐线も残る不通区间は浪江駅から富冈駅の20办尘を残すのみとなりました(実习中は浪江?竜田駅まで)。
今回も国道6号线の帰还困难区域、浪江町、富冈町の空き地や道沿いなどで空间线量の计测を行い、毎时1マイクロシーベルト以下から数マイクロシーベルトに渡ってリスクの根本原因となっている放射性物质の存在を学生たちが确认しました。
除染の进行に伴い、除染を终えたと思われるエリアから年々、放射线量が下がっている様子が伺えます。また富冈町では、复合商业施设「さくらモールとみおか」が2017年4月にオープンし、住民たちの帰还へ向けた环境整备が进んでいました。
津波の被害が大きかった浪江町?请戸(うけど)地区では、がれきや被灾住宅の撤去が进み、刻々と復旧工事が进んでいます。そんな中、请戸小学校の校庭の时计は津波が到来した时刻を指したまま止まっていました(现在は立入禁止)。
福岛県?浪江町立请戸(うけど)小学校前にて
狈笔翱「元気になろう福岛」の本田纪生さんからお话を闻く
しかし、このように目に见えて震灾の影响を受けた风景はどんどん减っています。これからは、语り部の方にお愿いして、震灾の记忆や教训を伺う必要があると感じました。
■川内村?毛戸(もうど)地区での取材
毛戸地区の新聞受けが並んでいる場所からさらに車で山奥に入ったところに、突然、集落が現れます。川内村東部の毛戸地区は、 福島第一原発から20km圏内に位置するため、避難指示解除準備区域となった後に、2014年10月 に避難指示が解除された地域です。遠くに福島第一原発を見ることもできます。
川内村?毛戸地区の秋元通さんと一子さん
毛戸地区で生まれ育った秋元通(とおる)さんと、その妻の一子(いちこ)さんに被灾当时の状况や放射能リスクが生活にもたらしたことなどに関してインタビューを行いました。
秋元さんは自宅を农家民宿用にリフォームし、周囲の山林を自然公园风に整备するなどして、この地区の魅力を伝えようとしています。すぐそばの森の中には沢もあり、林床にはランなど様々な山野草が自生していて、个人の住宅や土地とはとても思えないほど広大で豊かな自然です。
子どもがいる若い世代はどうしても放射能のリスクに敏感にならざるを得ないところがあります。しかし、线量も少しずつ下がり、时々お孙さんたちも游びに来てくれるようになったと笑颜で话してくださったことが印象的でした。
秋元さんご夫妇に様々なお话を闻いたことで、生まれ育った土地、自然への强い爱着を知ることができました。次は新緑の顷にぜひ泊まりに来たいと受讲生たちは口々に话していました。
■野生キノコの採集
2日目の朝、川内村の中心にそびえる弥宣の鉾(ねぎのほこ)という山で野生キノコの収集を行いました。この时期にどのような食用キノコがとれるのか、山林内の放射线量はどの程度なのか、地元の方に案内してもらいながら、2时间半ほど山林の斜面を歩きました。
予想以上に斜度がきつく、楽しいキノコ狩りと甘く见ていた受讲生は、斜面からずり落ちそうになったり、息を切らして急斜面を登りながら必死で探し回りました。
その结果、ハナイグチ、コガネタケ、ムラサキアブラシメジモドキなど10种类程度のキノコを採集することができました。
中でもこの时期、数多く地面を彩っていたのが、紫色のキノコ。採取した瞬间から色が褪せていくそうで、山を降りて袋を见ると见るも无残に崩れていました。しかし、落ち叶の中にまるで紫の宝石のようにキノコが颜を出しているのは印象的な光景でした。
ムラサキアブラシメジモドキ(フウセンタケ科)と思われるキノコ
野生キノコの採取にあたっては、地元の方の立会いのもと、ゴム手袋、防护メガネ、服装などで安全管理した上で実施しています。また食用のための採取ではなく、放射能検査のための试料採取が目的です。採取したものは川内村で指定された方法で廃弃しています。
■远藤きのこ园の取材
その后、菌床によるしいたけ栽培に取り组んでいる远藤雄夫(たけお)さんに、栽培のプロセスを详细に説明していただきながら、福岛での第一次产业の现状についてお话を伺いました。
远藤きのこ园の远藤雄夫さん
出荷前のしいたけの放射性セシウム浓度が100ベクレル/kgをこえないよう、移行係数をもとに原木?ほだ木の安全基準は50ベクレル/kg、菌床は200ベクレル/kgという基準があります。菌床栽培の场合は放射能に関して厳しくチェックしたおが粉によって栽培するので、汚染のリスクは非常に低くなりますが、それでもかなり気を遣って二重叁重のチェックをしていると伺いました。
チェルノブイリでの事故以降、キノコには放射性物质を吸収するという生理的特性があることが知られています。野生のキノコの场合、日常的に大量に食べるものではないとはいえ、今回の事故によって広范囲に山林が放射能汚染を受けていてリスクはあります。
野生や露地栽培のキノコに対するこうしたリスク认识が薄く広くあることから、工场で栽培されているキノコに対しても、风评被害といえる状况はありました。しかし、远藤さんのような若い経営者による経営努力によって次第に风评被害は克服されつつあります。とはいえ村や个别の経営努力ではなかなか难しい情报発信とコミュニケーションに関して、我々のような外部の人间にどのような贡献が可能なのか模索していきたいと思います。
■川内村住民の皆様とのバーベキューによる交流
今年も川内村にあるいわなの郷という宿泊?研修施设にお世话になりました。ここのコテージはベッド、冷蔵库、洗濯机、お风吕など完备していて、周りを森林に囲まれた素晴らしい环境です。コテージに隣接した体験交流馆前の広场でバーベキューができます。昨年同様、川内村の妇人会の方や长崎大学の方など、川内村で生活されている方にお越しいただきました。
いわなの郷で用意してくださったお肉や新鲜な野菜、养殖しているイワナに、远藤きのこ园でいただいた新鲜なとれたての椎茸も加え、さらに妇人会の皆様が準备してくださったお渍物や食事をいただきながらの、本当に楽しい交流の时间でした。
実は、こうした非公式なコミュニケーションは、公式なインタビューに劣らず、今回の実习ではかなり力を入れて実施しています。まずは村の方と仲良くなって、地域の実情を知り、福岛を身近に感じ、东日本大震灾で起きたことを忘れない。そして何か课题があるならば、自分たちに何ができるのかを村の人たちとともに真挚に考える姿势を持つことが、我々のような県外の人间にとって最も大事なことだと考えています。
振り返りでは长崎大学の福岛芳子先生にレクチャーしていただきました
■放射能测定所での闻き取り调査
弥宣の鉾周辺でとれた野生きのこを、川内村の高山食品検査所で测定していただきました。ここで、猪狩安博さんに様々な放射能测定の手法や放射能リスクに対する村民の意识などについて伺いました。
最初は同じ村民であり、放射能の専门家でもないのに、厳しい口调で様々な质问を受けて非常に戸惑ったこともあったそうです。また 川内村には古くから山できのこをとって食べるような里山文化が根付いていたのですが、そうした文化が今后どうなってしまうのかといった点に不安があるとおっしゃっていました。
猪狩安博さん
放射能検査について次第に缩小はされていくだろうが、风评被害がなくなるまではやめられないのではないかと猪狩さんは言います。しかし、现状では川内村に帰ってきているのはみな高齢者で、家族がバラバラになってしまったことが本当に悲しい问题だということ。そして个人的には若い世代が戻ってきてもらえるような対策に予算を使ってほしいとおっしゃっていました。
■农研机构?农业放射线研究センターでのディスカッション
测定所を出てから、福岛市の农研机构?东北农业研究センター?农业放射线研究センターに行き、信浓卓郎先生(农业放射线研究センター长)をまじえて、取材结果の报告とディスカッションを行いました。
农研机构?东北农业研究センター?农业放射线研究センター长の信浓卓郎先生
さすがにこれだけ时间がたつと、昔のままの福岛に戻すことは难しい、震灾や原発事故がなくても否応なく高齢化と过疎は进むのであって、これからは外部の视点も入れながら、福岛の伝统や生活を见つめ直し、积极的に情报発信をしていく必要があると信浓先生はおっしゃいました。
また原発事故から时间がたつにつれ、放射线リスクの伝え方については様々な难しい问题をはらんできています。「调べて公表していること」自体が、放射能リスクについてあまり考えたことのない消费者や小売业者に不安を生むのではないかという悬念です。また、既に放射能が出ないと分かっている検査を过剰に繰り返すことも、コストをかけた割には実质的な安全の向上につながらず、また消费者の安心にもつながらないのかもしれません。
生产者が安心感を生むための取り组みと、消费者の安心感にずれが生じてきていて、それはどこかの段阶で见直す必要があるかもしれないと信浓先生は指摘しました。とはいえ、科学的に正确な数値をきちんと公表することは何よりも重要であり、悩ましい问题です。原発周辺の他県に比べての不公平感もあると感じました。
また基準値である100ベクレル/kgを少しでも超过し、その原因が分からなかったりすると、社会に与えるインパクトが大きくなってしまいます。本来、年间摂取量をもとに逆算した数値なので、瞬间的数値の幅を过剰に不安视する必要はないはずですが、今后、そうした科学リテラシーをどうやって社会の中で育んでいくのかも考えていかなければなりません。
■まとめ
リスク评価のための科学的思考はある程度は书籍からも身につけられます。しかし、福岛では时が経つにつれ、放射能の问题よりも、家族関係や健康问题、雇用の问题がいっそう大きくなってきていることが、现地でお话を闻くことによって実感することができました。
巨大科学技术がもたらした矛盾と葛藤にどう向き合っていくべきなのか。颁辞厂罢贰笔リスクコミュニケーション実习ではこれからも考えて続けていきたいと思います。
本実習は、文部省科学研究費補助金(科研費基盤C)「リスクコミュニケーター養成手法の開発」(課題番号:16K01000 代表:早岡英介)の支援によって実施しています。また環境省?原子力災害影響調査等事業(放射線の健康影響に係る研究調査事業)「地域保健活動における放射線リスクへの対応のあり方に関する研究」(2017.4-2020.3代表:山口一郎)による支援も受けています。


























