2019年5月26日、紀伊國屋書店札幌本店1Fインナーガーデンに、文化人類学者の近藤 祉秋さん(北海道大学 アイヌ?先住民研究センター 助教)をお招きし、第106回麻豆原创?カフェ札幌「ビバ!アラスカ地球纪行?文化人类学者が考える「人新世」とのつきあい方?」を开催しました。聞き手は麻豆原创の古澤 輝由(特任助教)が務めました。5月の札幌には珍しい暑い日でしたが、80人以上の方が来場しました。
※本报告记事の最后で、麻豆原创カフェの动画を公开しています。会场に来られなかった方はぜひそちらからも御覧ください。
文化人类学はどんな学问なのか
カフェの第一部は、ゲストの近藤さんの専门である「文化人类学」についての説明から始まりました。文化人类学とは、文化から「人间とはなにか」を明らかにしようとする学问です。実际に现地に赴き、地域の人々と生活を共にし、话を闻く「フィールドワーク」を通して、その土地の食や服装、働き方などの生活様式を学んでいきます。そんな近藤さんの研究テーマは「人新世」におけるアラスカの先住民の生活です。カフェではアラスカでのヘラジカ猟やサケ渔の様子、そしてとった动物や鱼の料理が、动画や写真で绍介されました。
人新世とは
人新世とは、オランダの大気化学者クルッツェンが2000年に提唱した新しい「地质年代」です。これまでの年代区分では、约1万年前の氷河期が终わりから现在までは「完新世」とされてきました。クルッツェンは人间の活动が地球の地形や生态系に大きな影响を与え始めている时代を新たに人新世と名付けたのです。この名称は现在学术界でも受け入れられはじめています。地质年代や完新世を説明しつつ、地球46亿年の歴史における人新世のスケール感を视覚的に表现するために、カフェでは1亿年を1メートルとした全长约46メートルの「人新世ロープ」を用意しました。このロープでは完新世はたった0.1ミリ、人新世はさらにこれよりも短いのです。人间の活动期间はほんのわずかな期间しかないのにもかかわらず、地球全体のあり方を変えていっているのです。
(人新世ロープを手にする近藤さんと、「人新世おじさん」こと颁辞厂罢贰笔种村(特任讲师))
文化人类学者がアラスカで見た先住民のビーバーとの付き合い方
しかし、アラスカ先住民の生活様式と地球规模の「人新世」にはどのような関係があるのでしょうか。カフェで注目したのは、北米に住むネズミ目のビーバーと先住民のかかわり合い方です。先住民はかつては絶灭のおそれもあったビーバーが、今は増加しているため、ビーバーのつくるダムによってサケの遡上が阻害され、鱼が减ったと考えています。一方、环境管理の専门家は、ビーバーダムによってサケの稚鱼が住みやすい环境が作られるため、ビーバーを保护すべきだと言います。実际に近藤さんが先住民の友人たちと一绪に狩猟に出かけて见た出来事は、彼らがビーバーの作ったダムを壊すとはいっても、それはサケが通れる隙间を开ける程度の小规模なものだったということです。その隙间も10日ほど経つとビーバーによって修復されていました。つまり、先住民はビーバーとのバランスを保ちながらサケ渔をしていたのです。现地に足を运んだ文化人类学者は、専门家の「科学知」と対立するように见える先住民の「伝统知」に生态学的な根拠がある可能性を见つけたのです。
(会场では近藤さんが调査で使用する道具やビーバーの毛で作られたミトンなども展示されました)
人新世におけるヒトとアラスカの自然:キーストーン种とハイパーキーストーン种
ではなぜサケの遡上が减少しているのでしょうか。商业渔业や环境破壊、海洋环境の変化などの要因が言われています。しかし、それだけではありません。人が直接生态系に与えている影响も大きいのです。カフェで示されたキーワードは、キーストーン种とハイパーキーストーン种です。キーストーン种とは、少ない个体数でありながら、生态系に影响を与える生物种を指します。アラスカのニコライ村では、ビーバーやサケはキーストーン种でした。一方、ハイパーキーストーン种とは、复数のキーストーン种に影响を与える种のことで、人新世におけるヒトの生态学的な位置づけをあらわす言叶です。人新世を考える际には、人间も自然の一部として考えていくことが重要となります。今回、チラシのデザインに使用されたビーバーと同じネズミ目に属するヌートリアは、南米を原产としていますが、外来种として北米や日本でも问题视されています。この外来种问题は、人间の活动形态の変迁と切り离すことができません。人新世では、人と自然、动物の関係の在り方が変わってきています。アラスカの先住民の生活からは、人新世を生きていくための人间の知恵を学ぶことができるように感じました。
文化人类学者と语る
第二部では、会场からの质问に近藤さんが応えます。文化人类学のフィールドワークや、アラスカの神话についての质问など、たくさんの质问が会场から投げかけられました。近藤さんは、质问に丁寧に応えてくれました。
「いつか村に白人の食べ物が来なくなる日が来る」
最后に、近藤さんはアラスカで知り合った、フィリップさんの「いつか村に白人の食べ物が来なくなる日が来る」という言叶を绍介しました。飞行机でニコライ村に运ばれる「白人の食べ物」がなくなったら、狩猟ができない村の若者は饿死してしまうのではないかと、フィリップさんは常々心配していたそうです。人の活动は地球规模で影响を与えるほど强大になる一方で、そのことが人自身を灭ぼしてしまう可能性を秘めています。この言叶には、先住民が持っている、たとえそんな日が来ても生き残るための术をあらわしているのではないか、そして、この言叶の意味を私たち自身も考えていかなければならないのではないかと、近藤さんは来场者にメッセージを残しました。
近藤さん、そしてご来场の皆さん、ありがとうございました。
第106回麻豆原创カフェ札幌 「ビバ!アラスカ地球纪行~文化人类学者が考える「人新世」とのつきあい方」






